五木寛之氏の「捨てない生きかた」という著書の中に、こんなフレーズがあります。
『 愛着ある「ガラクタ」は、人生の宝物である。』
『 モノは「記憶」を呼び覚ます装置である。』
モノには、「モノ」そのものと同時に、そこから導き出されてくるところの「記憶」というものがあります。モノは、記憶を呼び覚ます装置です。ぼくは、これを「依代(よりしろ)」と呼んでいます。
そうした記憶というものを蘇らせてくれる依代になるものが、一見どうでもいい、身のまわりのモノたちです。「ガラクタ」と、ぼくは呼んでいます。
(五木寛之 著「捨てない生きかた」より引用)
これは、工房エイトジーの理念『「捨てない」で「生かして繋ぐ」』と相通じるものがあります。
自分の手元にあるモノには、それぞれに存在する意味があり、手に入れるのに苦労したモノだけではなく、例え、容易く手に入れたモノだとしても、手に入れた時の感情や風景・時代、そして数年・数十年という時を共に過ごしてきた記憶や感謝の想いが宿っています。
この著書においては、次のようにも述べられています。
モノに埋もれて辟易している現代人というものから脱出しようとして、十年ほど前に断捨離(だんしゃり)という言葉がたいへん話題になりました。そういった捨てるということに熱意を燃やした時期があって、現在もまだその流れのなかにあるようです。
(中略)
ぼくは、孤独を癒すひとつのよすが(縁)として、モノに囲まれて暮らすということがあると思っています。モノに囲まれているということは、じつは〈記憶〉とともに生きているということなのです。
(五木寛之 著「捨てない生きかた」より引用)
対極となる断捨離という考え方もあり、否定はしませんが、このモノという形そのものだけではなく、そこに付随する記憶という無形のものを大切にすることが、人生を豊かにしてくれるのではないかとも思います。
そのモノたちは、近くにあり、見て触れることで、記憶を蘇らせてくれるのです。捨ててしまったら、そのモノとしての形だけではなく、それらの記憶も全て忘れ去られてしまうような気がします。悲しいかな…何も残らないのです。
断捨離という流れがある中でも、この著書が多くの方々に読まれているということは、この著書の内容に共感できる方々も多く存在するということなのであろうと思います。
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形を変えて記憶に留める「リデザイン」。予期せぬ理由や、経年劣化などによる破損などに対応して、可能な限りの修理・修繕・修復を施す「リペア」。
工房エイトジーでは、上記のような理念の元、日々の活動を続けていければと思っています。皆さまのお困りごとに寄り添っていければと思います。お気軽にご相談ください。
■ 参考文献:「捨てない生きかた」五木寛之 著 / マガジンハウス
工房エイトジーの掲げる「リデザイン」の基本は、
リペア(修理・修繕・修復)が難しい対象品の素材を部分的に生かし、
新たなアイテムに作り替えるという考え方です。
愛着のある品が壊れたりしてしまった際などにおける
解決策の一つの選択肢として、ご提案しています。
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あなたの想いや感謝の気持ちに寄り添いながら
リデザインしていきます。
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remember(心に留める) , remind(思い出す) , redesign(新たなデザイン) .