今回のご依頼は、お祖母様の形見である押し花を使ったリデザインです。
高校卒業後に上京してから、長年お祖母様と文通をされていたという50歳代のご依頼主。お祖母様の13回忌を迎えるにあたり、過去の手紙を整理していたところ、同封されていた押し花が出てきました。
ティッシュペーパーにボールペンでお花の名前をササッと書き、押し花を包んで、孫への手紙に同封されていたお祖母様。自然を慈しみ、気さくで孫思いの優しいお人柄が偲ばれます。
再び片付けてしまうのも もったいない。折角なら何か日常的に使用する物にリデザインできないか?とのご相談をいただきました。
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まずは写真を送っていただき、押し花を拝見します。ヒアリングを重ねながら、玄関に置く「キートレー」と「アクセサリートレー」を製作することに決まりました。
先ずは、「キートレー」の製作に入ります。使用するのは、躑躅(つつじ)の押し花です。
押し花と、それを包んでいたお祖母様の直筆入りのティッシュペーパーを準備します。押し花は、ちょっとでも指で触れると壊れてしまいそうで…、加湿器をガンガン焚きながら、美術品を扱う位に神経を使いました。
枠のサイズに合わせてアクリル板をカットし、慎重に押し花とティッシュを挟んで底板に接着剤で固定します。ここが一番難しい作業でした。押し花をピンセットで配置していくのですが、アクリル板に引っ張られたり、なかなか狙ったところに収まらず、押し花とティッシュが動いてしまいます。辛抱強く、慎重に行いました。
ご依頼主が藤色好きだということで、藤色のタイルを額のように組み込むことにします。タイルを組み込むために必要な内枠を木工で製作し、治具で固定し、鉄釘などを使わずに取り付けていきます。
内枠に沿って外周りに、タイルを組み込み、目地を入れていきます。写真では青掛かって見えますが、綺麗な藤色のタイルです。完全に目地が乾いた後に、本体と内枠に塗装を施し、完成です(製作日数:約4日)。
ご依頼主さまの感想)
十三回忌の法事に間に合ったことを、とても喜んでいました。ご両親も、こんなやりとりをしていたことを知り、驚かれていたそうです。タイルの色も とても気に入ってくれたようです。
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繊細な対象品をお預かりしての製作は、想像以上に神経を使います。丁寧・大切に取り扱うことを心掛けます。
時空を超えて、人の想いは届き、そして繋がっていく。
ものづくりに携わるものとして、そのお手伝いができたことに、とても感謝しております。
続けて、「アクセサリートレー」の製作に取り掛かります。とても押し花の取り扱いが難しく、静電気が最大の敵なので、加湿器2台フル稼働の工房です。
工房エイトジーの掲げる「リデザイン」の基本は、
リペア(修理・修繕・修復)が難しい対象品の素材を部分的に生かし、
新たなアイテムに作り替えるという考え方です。
愛着のある品が壊れたりしてしまった際などにおける
解決策の一つの選択肢として、ご提案しています。
愛着のある品に関して、何か困っていることなどがありましたら、
お気軽にご相談ください。
あなたの想いや感謝の気持ちに寄り添いながら
リデザインしていきます。
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remember(心に留める) , remind(思い出す) , redesign(新たなデザイン) .