25年位前に、某コンビニチェーンに対して提案をしたプロモーションツールの試作品をご紹介します。
LEDと太陽光電池パネルを使い、新商品の訴求やスポットのプロモーション告知を展開していく店頭ツールです（W560×H480×D95 mm）。コンビニの店頭に置いてあるイン看板という既定のツールの上から被せて使います。蓄電された太陽電池によって、告知ボード下部のラインが「ピカッ！ピカッ！ピカッ！」と点滅して走ります。
コンビニの店頭ツールとしては、イン看板の他に、ポスターや横断幕・のぼり・タペストリーといった様々なものがありますが、当時、店頭の出口調査で、その訴求力や告知力が課題になっていました。
買い物が終わって帰るお客様に対して、来店した時に、それらのツールの内容を認識出来ていたかどうかをアンケートしてみると、予想以上に低い認識率を示していました。その辺りの課題に対するテストマーケティング的な取り組みという主旨に基づいて、試作品の製作が行われました。
入口に一番近い場所に存在するイン看板を活用して、ちょうどお客様の歩いている時の目線の位置に展開出来る。そこが提案の起点になりました。そして、より訴求力を高められるように、アテンション機能としてLEDを使ってみようということに…。
クライアントは、当時からエコをキーワードに色々な取り組みを積極的にしていたので、太陽光電池パネルも組み合わせて使ってみようということになりました。告知面のボードに関しては、その都度簡単に差し替えられる仕様になっています。
LEDと太陽光電池パネルを組み合わせる電機系統において、一番難しい点は、日没から日の出までの時間発電出来るだけの蓄電を、天候や季節などの条件に左右されずに確保することでした。何度もシミュレーションが繰り返されました。トップにある太陽光パネルによって、昼間に、太陽光エネルギーをたっぷりと蓄えておきます。
クライアントから借りてきた既定のイン看板に合わせて、筐体の設計をして、電機系統のメカキットを組み込めるように考えていきます。その他にも、告知ボードの差し替え方やイン看板への取り付けの仕方など、運営的な点についても考慮します。
クライアントとも相談しながら、綿密に詰めていきました。
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そして、大枠のスペックが決まって、実際に筐体を形にしていきます。
作業の流れとしては、紙粘土を使って、図面に従い大元となる型を作っていきます。それが出来ると、電機系統のメカを組み込む部分と、告知ボードの取り付け面部分を色んな道具を使いながらくり貫いていきます。
基本となる型が出来上がり、よく乾かした後に、紙ヤスリなどを使って、ディテールを丁寧に仕上げていきます。そして、次の工程が、この試作品製作のポイントとなります。
その完成した基本型の上からFRPのシートを専用の糊を使って、細かく張り合わせていきます。FRPの薄いシートを小さいサイズにカットして細かく張り合わせていくので、曲面や微妙な凹凸部分もしっかりと追っかけられます。
最終的な筐体となる面全てにバランスよく満遍なく張り合わせたら、しっかりと糊を乾かします。完全に乾いたら、型となっている紙粘土を削り落としていきます。そうすると、最終的にFRP製の筐体の出来上がり。仕上げとして、目の違う紙ヤスリを何種類か使って、綺麗に形を整えていきます。
この辺りの一連の作業は、数日を要しています。いずれにしても根気のいる作業です。そのFRPの筐体の上に、吹き付け塗装を何度か重ねて、写真のような青い筐体の出来上がりです。
そして、電機系統のメカキットを、その筐体に組み込んでいきます。両側の告知面に告知ボードを取り付けることで、電機系統のメカキットのスペースを塞いで、写真のような試作品が完成しました。
ツール上面の太陽光電池パネルによって、昼間電気を蓄電して、夜間、その蓄電気によって、告知ボード下部のLEDのラインが点滅します。
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残念ながら、ツールとしては量産化には至りませんでしたが、とても充実した時間を経験出来て、技術的な部分だけでなく、ものづくりにおける大切なことを色々と学んだ気がします。
現在では、当たり前のようになりつつあるLEDと太陽光電池パネルを使っての商品化ですが、その当時としては、先を行っていたアイデアだったように思います。LED電球もまだまだ発展途上で、色数も限られていました。
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ピカッ！ピカッ！ピカッ！
25年近く倉庫の奥に眠っていたにも関わらず、久しぶりに、一日、陽の当たる場所に置いといたら、その夜、元気よく光り出しました。思わず嬉しくなり、見惚れていましたが、改めて、その耐久性に驚かされました。
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